
前回からの続きで、両親の思い出のエピソード、中編です。

このエピソードは、貴志が過去の自分と家族というものに向き合い、そして前へと進み出すための礎になるお話だと思いました。
貴志は幼い頃に少しのあいだお世話になっていた蒼井家を訪れることになりましたが、そこの人たちもけっこういい人ばかりでした。だけど当時から貴志は妖怪が見えてしまう特異な子で、まだまだ子供で、ニャンコ先生も友人もいなくて、どうしても浮いた存在になるのですよね。まだ子供だった貴志にはしかたのないことなのだけど。
三世子ちゃんもいい子でしたが同じくまだ子供で、親が貴志をかばったり構うものだから寂しさからすねてみたり、貴志が両親に迷惑をかけることにいい思いをしなかったり。
そんなふうに貴志はわりと親切にしてくれる家に預けられていても、家の人とはすれ違う毎日ばかりを過ごしていて、どこにいても「ここは自分の家じゃない」と感じていたと思います。
でも貴志の家族はもういなくて。想い出はいつも悲しみや痛みといっしょにあって。だからいつのまにか悲しみから逃げるように忘れようとしていました。
だけどもう貴志は変わったのですよね。ここまで観てきた話の通りに。
今回でも三世子の親思いの心に触れて、家族は大事なものだって思うことが出来ていました。素直に受け入れることが出来ていました。
ムシクイに憑かれて倒れてしまった貴志が「帰らなくちゃ…」とつぶやいたのは、もしかしたらそこは貴志の実家のこと、想い出や願望の中の本来あるはずだった家族の幸せな場所のことなのかもしれません。でも最後には貴志は気付くはずです。貴志の帰る場所はもうあるっていうことに。家族とはどういうもので、どこにあるのかっていうことに。
貴志の本当の両親はもういない、だけど父親の優しさは覚えているし、それは痛みなんかではなくて暖かかな想い出で、いまの貴志には友人たちや藤原夫妻がいて、そこが貴志の帰る場所で家族なんだとあらためて気付くことになる、と思いました。そうすることで貴志は前へ進める、つまり貴志がいずれ藤原夫妻の本当の家族になれる、ということかな、と。
貴志が本当の自分を打ち明けるのはそれでもまだ時間がかかると思いますが、その日は少しずつ、でも確実に近付いていると思いますよ。
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