
『ブラック★ロックシューター OVA』の感想です。メインキャラクタ自体は目にして何となく知っていましたが、ヴォーカロイド動画などは観ないままに、アニメだけを視聴しました。
BLACK★ROCK SHOOTER (ブラック★ロックシューター) OVA








最初はバトルモノっぽく見えたのだけど、これは思春期の少女たちの出逢いと友情の物語ですね。すれ違ったり悩んだりしながらともに歩んでゆく少女たちを描いた作品。
確かに戦闘シーンが多くてバトルが作品の色にもなっていますが、お互いの気持ちがぶつかり合って理解し合う部分をバトル描写で置き換えたカタチになっていると思いました。これでバトルをする必要性を織り込めるのがちょっと面白いかも。
今回の戦いは、黒衣マトが小鳥遊ヨミの心を取り戻す戦い。
ヨミは嫉妬や自己嫌悪というような心の闇に囚われてしまったのでしょうね。自分がマトのいちばんの親友だと思っていたのに、それにおそらくヨミには友だちはマトしかいないのに、マトはそうではなかった。大好きなマトをユウに取られてしまった、と。嫉妬や喪失感、そしてそんなことを考えてしまう自分が嫌にもなっただろうし、人付き合いに不慣れなヨミにはどうしたらいいのかが分からなかったと思います。

ヨミの心の揺れは夕日に染まった電車の車内でよく見えました。ヨミの顔に落ちた影が表すものは、本当の心と、それを覆い隠すあいまいな返事と迷い。あんなにもはっきりと真っ二つに影を描き入れたのは、ヨミがそんな自分の気持ちを分かりすぎているということで、だから余計にキツくて辛かったのではないでしょうか。
まだ心が成長途中で、強くなくて、繊細な子は、そのまま闇に呑まれてしまったんだろうなぁ。
振り返るとヨミもバスケットボール部に入っていれば済んだ話なのかもしれないけれど、ヨミは背の高さがコンプレックスになっていましたから。でもヨミがバレーボール部に入ったのは少しでもマトの近くにいたかったからですよ。別にバレーボール部でも何でも良かったはずです。ただ隣のコートだったから。近くにいられるから…。いじらしい、と同時に皮肉です。2 年生でのクラス分けも神様のヒドイ悪戯です。

ヨミも本当は分かっていたのですよね。マトを信じて、自分にも自信を持って、いままで通りでいれば良かった。逃げ出さなくても良かった。
マト(ブラック★ロックシューター)がそれをあらためて気付かせてくれた。マトはヨミ(デッドマスター)を思いっきり抱きしめて、離そうとしませんでした。ひとりで抱え込んで悩まないで。すぐに気付いてあげられなくてごめん。わたしはいつもそばにいるよ――。そうゆうことですよね。
ヨミも待っていたはずです。"助けて"や"逢いたい"というヨミの心の叫びが、空メールや想い出の場所に置き去りにしたプレゼントの携帯ストラップだったと思いました。

マトと触れ合い、彼女の想いを身体で感じ、安心できたヨミは自分を取り戻すことが出来て、心の闇とも言うべきデッドマスターが消えていきました。
抱き合ったまま穏やかに微笑むヨミの表情がとても良かったです。観ていてこっちも嬉しくなるし、ヨミは憂いに沈んでいるよりも微笑んでるほうがだんぜんカワイイ。
言葉がなくても伝わる想いがある。そんなことも思いました。
やはりハグのチカラは絶大ダナ。
『ブラック★ロックシューター OVA』はキャラが可愛くて、バトルに限らず絵もよく動いていたし、少女たちの傷付きやすいがゆえに眩しい青春のお話が良かったです。面白かった。
バトルでの台詞がほとんどなくて、最初は誰がどんな理由で戦っているのか分からなくて興味を惹かれ、観ているうちにこれは大切な人を取り戻すための戦いなんだと分かってくる演出と構成はなかなかいいなと思いました。決着の付き方にちょっとしたカタルシスを感じました。
次の新たなバトルを予感させる幕引きも定番だけど良かったですね。姿を見せただけのキャラや、どうなっているのか明かされなかったバトルもあったし、続きも気になるいい作品でした。
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BLACK★ROCK SHOOTER TVA 感想
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